【最適化アルゴリズム×AGV】Industry Alpha株式会社、群制御モジュールの導入によりAGVの複数台運用を最適化
群制御モジュールとは
複数台のAGVの最適制御を可能にするモジュールのことで、群制御と呼ばれる複数のAGVが同じ作業場所で協調して動作することができる技術を応用したシステムです。
近年、製造・物流業界で無人搬送機の運用の効率化や生産性向上に役立つことが期待され、注目されています。
群制御を用いることで、各AGV・AMRは位置、速度、方向などの情報を共有し、最短で搬送可能なルートを計算し経路の最適化を実現いたします。
AGV・AMRを複数台運用する時の課題
AGV・AMRを複数台運用する際、様々な問題が発生するケースがあります。
搬送の省人化に際し、AGVを導入したものの、AGV同士が見合って静止してしまう、AGVが遠回りしてしまうなどの問題が発生いたします。下記は実際に現場で頻発する代表的な問題点です
- 交差点制御の問題:交差点における搬送機間通信の最適化
- マップ統合の問題:全体の地図統合による最適な経路走行
- バッテリー寿命の問題:ルート最適化による省エネルギー運転
①交差点制御の問題:交差点における搬送機間通信の最適化
複数台同じエリアで運用される場合、交差点や車両間の衝突回避のためのルール設定を行う必要があります。
AGVは交差点手前で、進入予定のAGV同士が通信を行い、進路や進入予定時刻などの情報を交換します。
クラウドサーバーは交差点内の状況をリアルタイムに把握することができるため、適宜進路や進入予定時刻を調整することができます。
これにより、交差点内での無駄な待ち時間を減らし、無人搬送機の効率的な運行を実現することができます。
②マップ統合の問題:全体の地図統合による最適な経路走
AGVの複数台運用では、各車両の位置情報を正確に把握し、自動で経路を計算することができるようにする必要があります。
複数のAGVが同じ場所を通過すると、それぞれの搬送機は個別に自己位置推定や地図生成を行い、ローカルマップを構築します。しかし、このローカルマップだけでは、他のAGVの動きや位置関係を考慮できないため、全体の動きに対する最適な制御が困難になります。
そこで、複数のAGVが認識しているローカルマップを統合して、全体の地図を生成することで、他の搬送機の位置や進路の共有を可能にし、最適な制御を実現いたします。
③バッテリー寿命の問題:ルート最適化による省エネルギー運転
AGVやAMRはバッテリーで動作するため、運用時間が制限されます。
複数のAGVを運用する場合、充電設備の配置や充電スケジュールの調整が必要になります。
群制御により、複数のAGVが同時に運転することで、個別に走行するよりも効率的にルートを最適化することができます。最適なルートに沿ってAGVを運転することで、省エネルギー運転を実現し、バッテリーの寿命を延ばすことができます。
これらは群制御モジュールを活用することで、複数台AGVの最適な運用を可能にいたします。
群制御モジュールの導入
当社は今回、物流倉庫内、ピッキングエリアにてピッキングアシストAGVを6台導入いたしました。
ピッキングエリアでは、AGVがピッキング先まで自動的に移動し、人が荷物をピッキングした後、AGVに荷物を載せることで搬送が完了するという流れになっています。
本来であれば、AGV導入台数が増えることによるコスト増加や、AGVが障害物を回避することにより遠回りしてしまう問題が発生しますが、群制御モジュールを活用することで複数台のAGVの最適な運用を実現したしました。
特に今回の取り組みで使用される倉庫では、人とAGVが共に作業する環境を構築する必要があり、群制御モジュールを活用したことで、AGV同士がスムーズに位置情報をやり取りし、エリア内を最短経路で走行する環境を実現いたしました。